医療福祉の労務情報
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文書作成日:2018/02/28


 今回は、職員間の金銭の貸し借りに、どのような対応をしたらよいかの相談です。




 ある職員が、「先輩職員にお金を貸したが一向に返ってこない」と困っており、職場の人間関係にも悪影響を及ぼし始めています。医院としてどのような対応をとるのがよいのでしょうか。また、こうしたトラブルを避けるためにはどうしたらよいのでしょうか?




 職員間の金銭の貸し借りは私生活上の問題であり、基本的に医院は介入すべきでありません。
 しかし、職場の秩序が乱れてしまう場合には、まずは金銭を借りている職員と話をし、注意指導を行うと共に、今後このようなトラブルが起きないよう、あらかじめ職員間の金銭の貸し借りを禁止するなどの防止措置をとることが望まれます。




 私生活上のことであっても、職員間のトラブルによって日常業務に支障をきたしてしまっては、医院としても無視できません。このような場合には、以下のような対応が求められます。

1.注意指導および懲戒処分

 今回のケースのように職員間の金銭の貸し借りがトラブルに発展し、それが職場の秩序を乱しているという場合には、医院としても職員間に介入し、状況の確認を行った上で、注意指導を行う必要があります。
 中でも深刻な状況に陥っているような場合には、懲戒の実施も検討しなければならないケースもあるでしょう。
 裁判例では、本来、職員の私生活上の行動を規制できないとしつつ、事業の円滑な運営に支障をきたす恐れがあるなど秩序に影響があると判断される場合、懲戒処分が有効であることが示されています。(関西電力事件 昭和58年9月8日)

2.返済が必要な金額の給与天引き

 金銭を貸している職員が医院に対して、確実な返済をしてもらえるよう「返済額を給与天引きしてほしい」という要望をしてくることがあります。
 しかし、借りている職員本人から同意を得ることなく給与から天引きを行うことは、労働基準法によって禁止されています。また、そもそも医院が過度に介入することで医院もトラブルに巻き込まれてしまう危険性もあるため、こうした要望については断ることが賢明でしょう。

3.就業規則による金銭の貸し借りの禁止

 職員間の金銭の貸し借りは職場の秩序を乱すようなトラブルに発展しがちであるため、就業規則においてその禁止を定めることも検討するとよいでしょう。
 ただし、あくまで金銭の貸し借りは職員の私生活上のことであり、借りる側だけでなく貸す側についても職場の秩序を乱す可能性がある行動だということを認識してもらうなど、ルールだけではなく金銭の貸し借りが起こらないように働きかけていくことが求められます。


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