医療福祉の税務情報
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文書作成日:2017/12/15


 平成29年度税制改正により、持分なし医療法人への移行に係る認定医療法人制度の拡充等が図られています。この改正は10月1日にスタートし、各種申請様式等が厚生労働省のサイト上でも公表されました。今回、改めて確認してみます。


 持分なし医療法人への移行に際して、移行計画を作成して厚生労働省の認定を受けた法人(以下、認定医療法人)については、その認定医療法人に係る出資持分や出資持分放棄に係る相続税・贈与税を猶予・免除してもらえる制度が、平成26年度税制改正により創設されています。
 この制度の適用を受ける一番のネックは、「認定医療法人に対するみなし贈与課税のリスク」です。つまり、「相続税法第66条第4項の規定に該当する要件」を全て満たさない場合に課される、みなし贈与税の問題でした。

 この問題については、創設当初から日本医師会等から改善要望が出されていましたが、29年度税制改正により、このみなし贈与税が課されない旨の改正が行われました。

 ただし、その一方で移行計画の認定制度自体の改正もされています。
具体的には、“運営に関する要件”が追加され、この要件を移行後6年間満たし続け、かつ、毎年運営状況を報告する義務が付加されました。


  “運営に関する要件”は、『運営方法』と『事業状況』に大別され、それぞれ次の要件が定められています。

  1. 運営方法
    1. 法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと
    2. 役員に対する報酬等が不当に高額にならないような支給基準を定めていること
    3. 株式会社等に対し、特別の利益を与えないこと
    4. 遊休財産額は事業にかかる費用の額を超えないこと
    5. 法令に違反する事実、帳簿書類の隠ぺい等の事実その他公益に反する事実がないこと
  2. 事業状況
    1. 社会保険診療等(介護、助産、予防接種を含む)にかかる収入金額が全収入金額の80%を超えること
    2. 自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準によること
    3. 医業収入が医業費用の150%以内であること

 まず認定を受ける段階で上記の要件全てを満たし、かつ、移行後6年間満たし続けなくてはなりません。そして、毎年報告義務があります。

 この要件に関しては、厚生労働省がすでに「別添様式4 医療法施行規則附則第57条の2第1項各号に掲げる要件に該当する旨を説明する書類」として、ひな型を用意しています。このひな型を用いて、要件に該当するか否かを確認するとよいでしょう。

 なお、このひな型を含め、厚生労働省から公表されている書類は、様式1〜9まであります。

 

 みなし贈与税が課税されることでかなりの資金負担が強いられることが予想され、以前の制度の適用をあきらめていた場合には、新しい制度で適用できるかどうかの検討を行ってみましょう。


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